ドイツといったら、「ビール」と「ソーセージ」ですよね。
ドイツ旅行といったら、ドイツビールを飲みながら、ソーセージを食べてドイツ料理に舌鼓をうつ、こんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
ビールって別にドイツでなくても作ってますよね。ヨーロッパ中、古代から作られているわけです。
でも、イギリスといったらビールなんてことにはならないかと思います。
今回は、なぜドイツと言ったら、ビールなのか、その理由に迫りました。
お酒のこと
まずは、ビールって何なのか、簡単におさらいします。
ビールはお酒です。
お酒には大きく3種類あります。
醸造酒、蒸留酒、混成酒です。
また、それぞれの分類の内訳は次のようになっています。
醸造酒はビール、日本酒、ワインなどです。アルコール発酵させたものがそのまま飲料となっているのが醸造酒です。
・日本酒
・ワイン
蒸留酒は、ウイスキー、焼酎、ブランデーなどです。また、混成酒は、リキュール、ベルモット、みりんなどです。
ビールのこと
ビールは、発酵方法によって大きく2つにわけることができます。
上面発酵、下面発酵です。
下面発酵:発酵中に沈む性質を持った酵母を用いる
普通はビールの発酵には培養した酵母を用いますが、例外として、自然界に存在する培養していない酵母(野生酵母)を用いる自然発酵というものもあります。
上面発酵のビールはエール、下面発酵のビールはラガーと言います。
ドイツビールのこと
ドイツビールのスタイル
ドイツビールにはいくつかのスタイルがあります。ドイツに行くなら、ぜひ知っておくとよりドイツを楽しむことができると思います。
エール(上面発酵)
ケルシュビール(Kölschbier):ドイツ西部ケルン発祥。色は淡色系。甘みがあるが、さわやかな口当たり。
アルトビール(altbier):ドイツ西部デュッセルドルフ発祥。色は中濃色。フルーティな香り。
ヴァイツェンビール(Weizenbier):ドイツ南部発祥。weizenとはドイツ語で「小麦」。色は淡色から濃色まで。苦みが少なく、フルーティな香りがする。
ラガー(下面発酵)
ヘレス(Helles):
ドイツ南部ミュンヘン発祥のビール。hellesとはドイツ語で「淡い」。色は淡色。苦味が少ない。
ピルスナービール(Pilsnerbier):
チェコのピルゼン/プルゼニ地方で発祥。ドイツ北部ではホップ(苦味)が強く、南部ではモルト(甘味)が強い。
メルツェンビール(Märzenbier):
3月に仕込まれるため、ドイツ語で3月を意味するメルツ(März)が由来。モルト(甘味)がやや強い。
シュバルツビール(Schwarzbier):
ドイツ南部バイエルン地方発祥のビール。schwarzとはドイツ語で「黒」。色は黒色。ローストしたモルトの芳ばしい香りがする。モルトの甘味が強い。
ラオホビール(Rauchbier):
ドイツ南部バンベルク発祥。rauchとはドイツ語で「煙」。色は黒色。スモークしたモルトの燻製香がする。
ドルトムンダービール(Dortmunder):
ドイツ西部ドルトムント発祥。色は淡色。モルトの味が強い。
エール(上面発酵)もしくはラガー(下面発酵)
デュンケルビール(Dunkelbier):ドイツ南部バイエルン地方発祥のビール。Dunkelとはドイツ語で「暗い」。色は濃暗色。ローストしたモルトの芳ばしい香りがする。モルトの甘味が強い。
ボックビール(Bockbier):ドイツ南部アインベック発祥。bockとはドイツ語で「雄ヤギ」。アルコール度数は高め。
ビール純粋令
ここまで、ビールとは何か、そして一概にドイツビールといってもたくさんあるという記事でした。
ここから、なぜドイツといったらビールなのか、の謎に迫ります。
なぜ、ドイツといったらビールなのか。
それは、「ドイツには500年前からずっと高品質なビールを作り続ける仕組みがあるから」です。
この仕組みは、500年前のドイツ南部ミュンヘンで作られた「ビール純粋令」という法律に起因します。
1516年4月23日、ミュンヘンを収めていたバイエルン公国のヴィルヘルム4世は「ビール純粋令」を発布しました。
この法令は、「ビールは大麦、ホップ、水のみを原料とすべし」と原料を定めたもので、違反者にはビール樽の没収という処罰が定められました。
この狙いは諸説ありますが、質の良いビールを生産する狙いがあったということに疑いの余地はないでしょう。

ビール純粋令の原文
現在でも、この法令はビール酒税法として残っており、ドイツビールのブランド力を高めることに寄与しています。
2013年には、ビール純粋令の原文は、ユネスコの世界遺産の無形文化財バーションである「無形文化遺産」にも登録されています。
まとめ
ドイツビールは500年前から続く仕組みによって、高品質なビールが作られ、それがブランドとなっていると感じます。
ドイツといったらビール、500年前のヴィルヘルム4世は自分が制定した法律がここまで将来にわたって影響するとは考えていなかったでしょう。
500年に渡って、続いてきた法令は何物にも代えがたいブランド力、市場競争力の源泉であることは間違いありません。
世界でも有数のビール大国であるドイツ、その長い歴史を感じながら、ドイツビールを堪能したいものです。
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