薬剤師国家試験97回 問20
異物代謝において、メルカプツール酸生成に関与する酵素はどれか。1つ選べ。
1.カテコールO-メチルトランスフェラーゼ
2.グルタチオンS-トランスフェラーゼ
3.スルホトランスフェラーゼ
4.ロダネーゼ
5.UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ
解答・解説
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
2
メルカプツール酸の構造は以下です。システインにアセチル基が結合しています。
1:誤
カテコールO-メチルトランスフェラーゼはCOMTと略されますが、カテコールのフェノール性水酸基にメチルを転移する酵素です。細胞質(可溶性画分)にあります。
2:正
グルタチオンS-トランスフェラーゼはグルタチオンの抱合反応を担います。細胞質(可溶性画分)に存在します。
※Glutationeとしてしまいましたが、正しくはGlutathioneです。グルタチオンのチオール基部分がベンゾキノンイミンのケトンから見てオルト位に求核攻撃します。
例えば、アセトアミノフェンはUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼでグルクロン抱合されるほか、図中には記載していませんが、スルホトランスフェラーゼで硫酸抱合され代謝されます。ただ、大量摂取したときにはこれらの抱合反応が間に合わず、CYP2E1で代謝されます。この代謝物であるN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンが肝障害を引き起こします。
また、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミンはグルタチオン抱合を受け、グリシンとグルタミン酸が脱離した後のシステインにアセチル抱合し、メルカプツール酸誘導体として尿中から排泄されます。
3:誤
スルホトランスフェラーゼは硫酸抱合を担う酵素です。細胞質(可溶性画分)に存在します。
4:誤
ロダネーゼはシアンの解毒に関わる酵素です。チオ硫酸ナトリウムがロダネーゼのジスルフィド部位に結合し、ここにシアン化物イオンが反応して亜硫酸イオンと置換された後、チオシアン酸が脱離し解毒されます。ミトコンドリア画分にあります。
5:誤
UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼはグルクロン酸抱合に関わる酵素です。ちなみにグルクロン酸抱合を受けた代謝物は胆汁排泄されやすく、腸内細菌叢のβ-グルクロニダーゼで加水分解され、腸管で再吸収されるという腸肝循環を起こす可能性があります。
コメント