【薬物動態学】線形コンパートメントモデルの積分の証明

線形1-コンパートメントモデルの式の導出過程で、次のような積分が必要になってきます。

(高校数学の範囲内ですが、薬学部に入ってしまうと、積分をする機会って少ないと思いますし、昔は理解していたんだけど、実際なんでこうなるんだっけ?という人も多いかと思います。)

(\(X\)は薬物量です、\(\log \)の底は省略していますが、ネイピア数\(e\)です。)

$$\int \frac{1}{X}dX = \log X + C$$

実際に導出過程まで覚える必要はないかと思いますが、一度目を通しておくと心のつっかかりが取れると思います。

この記事では、積分の導出過程を詳しく解説します。

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導出過程

前提として、線形1-コンパートメントモデルの式においては、薬物量\(X\)はマイナスになりませんので、\(X\)は正の数として考えて問題ありません。

まずは微分を考えよう!

高校数学を思い返してみると、積分は微分の逆でしたよね。

つまり、\(\frac{1}{X}\)を積分すると、\(\log X\)となることを確認したいときは、
その逆の\(\log X\)を微分すると、\(\frac{1}{X}\)となることが確認できればよい訳です。

では、やってみましょう。

導出手順

導関数の定義を使います。

\begin{eqnarray}
\frac{d(\log X)}{dX} & = & \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{\log (X+h)-\log (X)}{h}\\
& = & \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} \{\log (X+h)-\log (X)\}\\
& = & \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} \log \frac{X+h}{X}\\
& = & \displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} \log \biggl(1+\frac{h}{X}\biggr)\\
& = & \displaystyle \lim_{h \to 0}\frac{1}{X} \frac{X}{h} \log \biggl(1+\frac{h}{X}\biggr)\\
& = & \displaystyle \frac{1}{X}\lim_{h \to 0} \log \biggl(1+\frac{h}{X}\biggr)^{\frac{X}{h}}\\
\end{eqnarray}

ここで、\(\frac{h}{X}\)をtとおくと、\(h→0\) のとき \(t→0\) ですから、

$$\frac{d(\log X)}{dX} =
\displaystyle \frac{1}{X}\lim_{t \to 0} \log (1+t)^{\frac{1}{t}}$$

となります。

この形、何かと似ていませんか?

ここで、ネイピア数\(e\)の定義を思い出しましょう。

$$ e = \displaystyle \lim_{k \to 0} (1+k)^{\frac{1}{k}}$$

ネイピア数はこのような定義ですから、先ほどの

$$\displaystyle \lim_{t \to 0} \log (1+t)^{\frac{1}{t}}=\log e=1$$

とすることができます。

(正直なところ\(1\)よりよりほんの少し大きい数字を無限にかけると\(e = 2.71…\)になるというのが、いまだに直感的に理解できません。)

つまり、

\begin{eqnarray}
\frac{d(\log X)}{dX} &=& \frac{1}{X}\log e
&=& \frac{1}{X}
\end{eqnarray}

となります。

微分は積分の逆の操作ですから、
$$\int \frac{1}{X}dX = \log X + C$$
と表すことができます。

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まとめ

高校数学でやったような気がする(やった)内容でした。

試験では求められないと思いますが、一度目を通しておくといいかもしれません。

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