前々から欲しいと思っていた「世界の都市地図 500年史」を手に入れたので、レビューします。
結論から言うと、かなり満足。個人的な評価は高いです。掲載されている都市地図は中世・近世の1500年頃~1800年頃が多い印象で、都市地図好きには堪らない一冊です。
イギリスの歴史学者であり、地政学で著名なジェレミー・ブラックが著者です。原著は「Metropolis: Mapping the City」です。
以下、内容の紹介です。
内容
まず全体から、本書は全224ページからなる世界の都市地図図鑑です。掲載されている都市地図はヨーロッパの他、アジアや南北アメリカ、オセアニア等、200を超えます。
構成は、まえがき+古代地図が約30ページ、「第1章ルネサンスの都市 1450-1600年」、「第2章新たな地平と新しい世界 1600-1700年」、「第3章帝国の時代 1700-1800年」、「第4章新機軸の温床 1800-1900年」がそれぞれ約20ページずつ、「第5章新機軸の温床 1800-1900年」が約30ぺージ、「第6章活版からピクセルへ」が約10ページとなっています。
それぞれのページには都市地図とその説明、そして本文が記載されています。
まえがき
本文は都市はどんな場所であるか、という説明から始まります。本文の近くには都市地図が掲載され、都市地図が作成された時代の世界の歴史の流れが説明されます。
都市は希望と夢の場所、展望と秩序の場所であり、その一方で、破壊と衝突の中心でもある。都市は近代になって生まれたものではないが、にもかかわらず、多くの人々にとって、現代人の暮らしに欠かせない大事なものとみなされている。
都市地図の一部を紹介
イタリア、ジェノバ
以下は1481年に作成されたイタリア、ジェノバの鳥観図です。
1480年、オスマン帝国はイタリア半島の南西部にあるオトラントを侵略しました。この地図は、オトラントをオスマン帝国から解放せよ、というローマ教皇シクストゥス4世の求めに応じて、出港する艦隊を祝うために描かれました。
奥に見える丘(リーギ丘陵)に築かれている砦は市街を守る重要な構造物であるとともに北アフリカの海賊の襲来を発見するための監視所でもありました。
オランダ、アムステルダム
続いて、1544年、1649年、1690年頃に作成されたオランダ、アムステルダムの地図です。1600年代はアムステルダムの黄金時代と呼ばれ、世界中から富を集め繁栄しました。
現在、世界遺産にも登録されているアムステルダムの環状運河群が次第に出来上がっていく様子がよくわかります。
1544年のものは現存する最古のアムステルダムの地図です。(地図の上側が南、下側が北です。)
3つの地図を比較してみると、アムステルダムが水路とともに拡大していったのがよくわかります。
まとめ
本書「世界の都市地図 500年史」は都市地図好きの心をくすぐられる一冊です。
この図鑑は、まさに都市地図の美術館に行ったかのように錯覚させてくれる作品であると思います。
都市地図が好きなら是非手に入れたい一冊です。
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